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おわりに — 「脳の資本家」として生きる
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
ここまで読み終えたあなたは、本書を手に取る前と、世界の見え方が、少し変わっているはずです。
集中力が落ちた、判断ミスが増えた、機嫌の波が大きい — そうした日々の小さなサインを、もう「年齢のせい」「気合いの問題」とは思わないはずです。
それは、あなたの脳のコンディションが、いまあなたに何かを伝えようとしている、シグナルだと読めるようになっているはずです。
そして、AI時代に「自分は何をすればいいのか」という問いに対しても、答えのかたちが、少し見えてきたのではないでしょうか。
知識をもっと詰め込むことでも、長時間働くことでもなく、まず自分の脳のコンディションそのものに、手をつける。
それが、本書を通じて、繰り返しお伝えしてきた、新しい時代の生き方の核です。
本書のはじめで、こう書きました。
「脳の資本は、メタファーではなく、これからの社会で個人が持つ、もっとも具体的な、もっとも本質的な資産です。」
そして、お金の資本と決定的に違うのは、次の3つだと書きました。
- 脳の資本は、相続できない
- 脳の資本は、自分自身でしか経営できない
- 脳の資本は、今夜から、ゼロ円で積み立てが始められる
この3つを、本書を閉じる前に、もう一度、別の角度から見直しておきます。
脳の資本は、相続できない。
これは、絶望ではなく、希望の話です。
お金の資本は、生まれた家で大半が決まります。
学歴の資本も、家庭の経済力と文化資本に強く依存します。
人脈の資本も、もっぱら親世代から受け継がれます。
しかし、脳の資本だけは、生まれの不利を逆転できる、最後の領域です。
どんな家に生まれても、今夜、20分の散歩から積み立てを始められます。
50歳から始めても、20歳から不摂生を続けた人を、確実に追い抜けます。
これは、これからの社会で生きていく、すべての人にとっての福音です。
脳の資本は、自分自身でしか経営できない。
これは、責任の話であり、同時に、自由の話です。
お金は、専門家(投資顧問、税理士、銀行)を雇えば、ある程度任せられます。
身体は、医者や、トレーナーに任せる部分が、相当あります。
ところが、脳のコンディションだけは、誰にも委託できません。
朝、何を食べるかを決めるのは、あなた自身です。
昼、20分歩く時間を確保するかを決めるのは、あなた自身です。
夜、22時にスマホを置くかを決めるのも、あなた自身です。
これは、重い責任です。誰のせいにもできません。
同時に、これは、深い自由です。誰の許可も要らないからです。
社長の決済も、家族の同意も、医者の処方も要らず、いま、この瞬間に、自分の意志だけで始められる。
そして、自由を行使し続けた人だけが、長い時間軸で、脳の資本家になっていきます。
脳の資本は、今夜から、ゼロ円で積み立てが始められる。
これが、本書の核となる、希望のメッセージです。
教育費を増やす必要はありません。
ジムに通う必要も、ありません。
高価なサプリも、最新のテックも、いりません。
必要なのは、3つの軸を、自分の生活に意識的に組み込んでいく、ささやかな決意だけです。
- 動き(運動)
- 燃料(食事)
- 回復(睡眠と余白)
そして、9セルのうち、いまのあなたの最弱セルを1つ、選ぶ。
そこに、90日、集中して、行動を投じる。
ゼロ円で、今夜から、始まります。
ここまでで、本書をお伝えしたかったことの、ほぼすべてです。
最後に、私自身からの、個人的なメッセージを書き残させてください。
私たちUNLOCKは、「すべての人の脳の可能性を解放する(UNLOCK Potential)」というミッションを掲げています。
脳の可能性を解放する、というと、なんだか派手な響きがします。
しかし、私たちがやっていることの実体は、もっと地味です。
ある中堅企業の社員が、朝の散歩を習慣にして、午前中の会議で意見を言えるようになった。
ある小学生が、夜のスマホを止めて、朝起きるときの機嫌が変わった。
あるシニアアスリートが、食事を変えて、年齢を超えるパフォーマンスを発揮しはじめた。
これらの、ひとつひとつの小さな変化を、たくさんの人の生活の中に作り続けること。
それが、私たちの仕事の中身です。
最後に、本書のタイトル『脳の資本論』を、もう一度、振り返ります。
「資本論」と呼ぶには、いささか大袈裟だったかもしれません。
マルクスのように、社会の構造を一変させる思想を提示したわけでもありません。
ただ、ひとつだけ、本書が伝えたかったのは、こういうことです。
これからの時代を、私たち個人が、より自由に、より人間らしく、より幸福に生きるためには、自分の脳という資本を、自分の手で経営することから、すべてが始まる。
その経営の設計図を、本書では BCS-OS というかたちで、お渡ししました。
これからは、それを、あなた自身の人生の中で、毎日、回していってください。
そしていつか、5年後、10年後、本書を再読することがあれば、その時のあなたは、いまよりもずっと、整った脳の経営者になっているはずです。
その日のあなたに、本書がささやかな再会の挨拶を返せたら、著者として、これ以上の喜びはありません。
著者プロフィール
太田 智(おおた さとし)
UNLOCK株式会社 代表。
「脳のコンディションサービス」を事業とし、子ども教育、企業健康経営、プロアスリート支援など複数領域で、脳のコンディショニング(Life Kinetik、Brain Capital 概念の日本展開等)を実装している。
独自フレームワーク BCS-OS (Brain Capital System Operating System) の開発者。
ミッションは「UNLOCK Potential — すべての人の脳の可能性を解放する」。
組織哲学は「真面目に遊ぶ、真面目にふざける」。
著書:
- 『脳の資本を育てる子育て』(本書の姉妹編、Vol.1)
- 『脳の資本論』(本書、Vol.2)
本書の感想・ご質問・診断ツールへのアクセスは、UNLOCK公式noteまで。
あなた自身のBCS-OS経営の歩みを、いつかどこかで、聞かせてもらえたら嬉しいです。